夏目漱石、異色の作品。

2019年 09月1日 - 日常

今日から9月、そして今日1日は立春から数えて210日目に当たる「二百十日(にひゃくとおか)」です。


夏目漱石が1906年に発表した「二百十日」という短めの小説があります。
「草枕」と同じく熊本県が舞台で、作者の熊本滞在中の実体験が元になったと言われています。
主な登場人物は、圭さんと碌さんの二人。
小説の大半がこの二人の会話文で成り立っており、夏目漱石の小説の中でもかなり異色の作品だと思います。
タイトルの「二百十日」とは、前述のとおり、立春から210日目にあたる日で、現在の9月1日前後のことです。
古来より台風が多い日と言われていて、農家にとっては厄日に当たります。
作中では、阿蘇山に登る圭さんと碌さんが、「二百十日」の天気の悪さに見舞われ、その内容は、阿蘇山への登山をメインイベントに、主人公が度々、権力に対する不満を口にするというものです。
作者自身の思いも投影されているのでしょうね。
ただ、圭と碌の息の合ったコンビネーションと、とぼけた味わいの会話の応酬が心地よかったです。
半熟卵のオーダーが全く通じないために、生卵と固ゆでの卵を食べるシーンには笑わされます。
「吾輩は猫である」の苦沙弥とそのお客さんとの間で延々と繰り返される、無駄話にもつながるものがありました。
一部の特権階級が権力を握っていた、明治時代の社会制度への痛烈なメッセージも込められていて考えさせられます。
大自然のど真ん中に投げ出された時の無力さと、いつの時代にも変わることのない阿蘇山の雄大なシルエットとのコントラストが心に残りました。
1時間もあれば読了できる小説ですので、一度みなさんも眼を通してみてください。

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