作品・建物・自然の三要素。

2019年 10月9日 - 日常

先日上京したときに、念願叶って「DIC川村記念美術館」を訪ねる機会を得ました。
ここは、DIC株式会社がその関連グループ会社とともに収集した美術品を公開するために、1990年5月、千葉県佐倉市の総合研究所敷地内に設立した美術館です。
17世紀のレンブラントによる肖像画、モネやルノワールら印象派の絵画から、ピカソ、シャガールなどの西洋近代美術、日本の屏風絵、そして20世紀後半のアメリカ美術まで、広いジャンルの作品を収蔵しています。
特に、レンブラント・ファン・レイン「広つば帽を被った男」を常設展示してあることでも有名です。
初代館長の川村勝巳氏は、経営の労苦の合間にひとり絵画と語らうことを無上の喜びとしていましたが、この、若くして成功した商人と思われる肖像画には、旧友と再会したような思いを抱いていたといいます。
館内で最小の展示室に一点だけ飾られている特別な作品は、必見の価値ありです。
ちょうど、「描く、そして現れる―画家が彫刻を作るとき」と題する企画展も併催していました。


DIC川村記念美術館の特徴のひとつが、北総台地の自然と調和した庭園です。
里山の地形を生かした緩やかな起伏のある敷地内には、木立の中を縫う散策路や千葉県の在来植物が茂る小道、芝生の広場やモネの作品を思わせるスイレンの池などがあり、緑豊かで穏やかな景色が広がり散策できるはずでしたが、過日の台風15号による倒木整理のため、当面の間休園ということでした。ザンネン!
DIC川村記念美術館では、17世紀のレンブラントから20世紀美術に至る多彩なコレクション、展示作品に最もふさわしい空間づくりを目指した建物(海老原一郎氏設計)、四季折々の変化が楽しめる美しい自然環境をテーマに、「作品」「建物」「自然」の三要素を調和させることで、理想の美術館を実現させようと努めているそうです。
雑踏の中に存立する都会の美術館とは異なり、広大な敷地の中に優雅に佇む郊外の美術館は、心の癒やしともなりました。
ご一緒した千葉県在住のナビゲーターとともに、庭園散策を含めた再訪を心待ちにしています。

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