映画は、時代を映す鏡。

2020年 02月14日 - 日常

先日の「2019年 第93回キネマ旬報ベスト・テン映画鑑賞会と表彰式」で、外国映画作品賞第1位はドット・フィリップス監督の「ジョーカー」でしたが、当日上映されたのは何故か第5位の「グリーンブック」(ピーター・ファレリー監督)でした。

人種差別が色濃く残る1960年代のアメリカ南部を舞台に、黒人ジャズピアニストとイタリア系白人運転手の2人が旅を続けるなかで友情を深めていく姿を、実話をもとに描き、第91回アカデミー作品賞を受賞したドラマです。1962年、ニューヨークの高級クラブで用心棒として働くトニー・リップは、粗野で無教養だが口が達者で、何かと周囲から頼りにされていました。クラブが改装のため閉鎖になり、しばらくの間、無職になってしまったトニーは、南部でコンサートツアーを計画する黒人ジャズピアニストのドクター・シャーリーに運転手として雇われます。黒人差別が色濃い南部へ、あえてツアーにでかけようとするドクター・シャーリーと、黒人用旅行ガイド「グリーンブック」を頼りに、その旅に同行することになったトニー。出自も性格も全く異なる2人は、当初は衝突を繰り返すものの、次第に友情を築いていきます。

日本人の苦手な人種ネタで、加えてコメディですけれども、バレロンガ家の家族の描写がさりげなく物語の土台になっており、トニーとドンという異なる人種の人間同士の触れ合いをメインテーマ風に通しつつも、最終的にはファミリーが温かさを深めるという部分に帰結します。個人的に一番面白いのは、ケンタッキー・フライド・チキンのシーンです。頑なに食べたがらないドンに強引に勧めるトニー。最終的にすっかり美味しさにハマって完食したドンは「骨はどうするの?」と聞くと、トニーは走行中の車の窓からポイ。ドンも笑いながら同じことをすると、トニーは飲み物容器まで窓からポイ。一瞬で「えっ」という真顔になるドンのシーン。

映画は「時代を映す鏡」だと言われますが、「グリーンブック」はまさに今の時代を投影しているんじゃないですか。

 

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