”リアル”を暴き出す。

2020年 02月18日 - 日常

2019年キネマ旬報ベスト・テン 文化映画作品賞を受賞したのは「i -新聞記者ドキュメント-」でした。

前にブログした映画「新聞記者」の原案者としても話題を集めた東京新聞社会部・望月衣塑子記者を追った社会派ドキュメンタリーです。オウム真理教を題材にした「A」「A2」、佐村河内守を題材にした「FAKE」などを手がけた森達也監督が、新聞記者としての取材活動を展開する望月の姿を通して、日本の報道の問題点、日本の社会全体が抱えている同調圧力や忖度の実態に肉迫していきます。映画が触れるのは辺野古の基地建設問題、森友学園・加計学園問題、伊藤詩織の準強姦被害の訴えなどで、登場人物は籠池夫妻や前川喜平・元文科省事務次官らおなじみの顔触れです。それよりも気になるのは、記者クラブの閉鎖性の問題です。散々言われていることですが、実際になぜあれほど窮屈なのか、改めて疑問に感じます。

監督の森は官邸会見に入って望月を撮影しようとしますが、いくら申請をしても会見への出席は許されません。官邸前の公道でカメラを回すことさえ、警備の人間に止められる有様です。監督自身は「政権批判の作品ではない」と言っているものの、望月が主人公となれば、「見たくもない」と言う政権擁護派もいるでしょうが、この映画を見れば森の言うことは本当だと分かると思います。政治的立場に関係なく、「i」の意味を考えることの大切さが提示される、最後の最後で本当にどきっとさせられるドキュメンタリー映画でした。

当日は「建国記念の日」で、会場の文京シビックホールの傍では、「民主主義に天皇はいらない」「天皇制を廃止しよう」と主張する反対派のデモ行進に対し、警視庁機動隊が沿道を警備するなど、異様な光景も見られました。

 

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