山が満面の笑みをたたえている。

2020年 04月12日 - 日常

春の山を表現する言葉に「山笑う」があります。明日から東日本は大荒れの予報ですが、境内から見える今日の山々はまさに春の装いでした。
2月には寒さが少し和らぎ梅の花を始めが咲き始めて、ほんのちょっとだけ春の息吹を感じるようになります。イメージとしては山が微笑む程度でしょうか。
3月になると桃や桜も咲き始め、木々の新芽が出てきて冬枯れの寂しい山から少しずつ色づき始めます。
4月には桜の花も散って葉桜となり、山々の色合いも完全に新緑へと様変わりします。こうなると山が満面の笑みをたたえている風情ですね。
「山笑う」とは上手いことを言ったものです。

「山笑う」の表現を最初に書物に残したのは、郭煕(かくき)という中国の北宋時代の画家だそうです。郭煕は自身が表した書物「臥遊録」の中にこう記しています。
〇 春山淡冶にして笑うが如く(春の山は、あっさりとして艶めかしく、笑っているように描くべきである)と。
郭煕の「臥遊録」では、春以外の季節も山を使って表現することがあります。
〇 夏山蒼翠として滴(した)たるが如し、(夏の山は、緑が生い茂って、滴るように描くべきである)
〇 秋山明浄にして粧うが如く、(秋の山は、明るく清らかで、化粧をしているように描くべきである)
〇 冬山惨淡として睡(ねむ)るが如し(冬の山は、寂しく暗く、眠っているように描くべきである)
この言い回しが現代の詩歌の世界にも受け継がれ、俳句などの季語として定着している、というわけです。
すなわち、春が「山笑う」、夏が「山滴る」、秋が「山粧う」、冬が「山眠る」と言うんですね。

俳句の世界では、季語としては「山笑う」「山睡る」が人気が高く、「山粧う」は季語には入っているけどあまり人気ではない!と言っていました。
「山滴る」に至っては、歳時記の中でも季語として認められていない事が多くあるそうです。実は夏の季語としては「山滴り(岩などから水がしみ出てくる様子)」というよくにた言葉があり、これとの混同を避けるためと言われています。
俳句の世界は未知の世界ですけど、山ひとつをとっても素敵な表現がありますね。

 

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