新しい世界へと旅立つときに。

2020年 04月14日 - 日常

「餞」あるいは「贐」、何と読みますか?

かつて日本では、旅立つ人のために「送別会」をする際に、道中の無事を祈って、その人の馬の「鼻」を、これから向かう目的地の方向に「向け」てやる習慣がありました。つまり「鼻向け」です。ここから、「はなむけ」ということばが、旅立ちや門出を祝福して金品・詩歌・激励のことばなどを送ることの意味になりました。
「はなむけ」は、漢字では「餞」と書くことができます。これは、「餞<せん>別」の「餞」ですね。「新たに来た人」に「餞別」を渡す人はいないでしょう。「はなむけ(餞)」も同じことです。このことを覚えておけば、「はなむけ」を間違って使ってしまうこともないと思います。
これは、本来とは違う意味で使われることが多いことばです。以前に実施した世論調査では、「社長が新入社員にはなむけのあいさつをした」という表現が「おかしくない」と答えた人が、半数を超えていました。
異動していく人に使うのはかまいませんが、くれぐれも異動してきた人に「はなむけ」を送らないように。「来たばかりなのに、もうどこかに行けというのか」などと思われてしまったら、その人に「顔向け」できなくなります。

「はなむけ」にはもうひとつ「贐」という字もあります。「贐」は貝偏に尽きるという意味の「盡」から成る文字です。
貝偏は「財」「貯」のようにお金や宝に関係する漢字を作るもので、「贐」はお金や宝を尽きるまで出すという意味を持つ漢字です。盛大にお祝いしたいときには、「餞」より「贐」を使う方が適しているそうです。

「はなむけ」は、人生の門出に花を添えるものです。
旅立つ人に幸多かれと祈り、祝福と励ましを込めて贈るのが「はなむけ」で、そのためにも「はなむけ」の正しい意味や使うべき場面をしっかりと押さえておき、適切に使えるようにしておくことが大切です。
新しい世界へと旅立つときの不安や緊張を「はなむけ」で和らげてあげることができれば、社会人として合格でしょう。

 

国内の感染者、累計8000人超に。  法華坊主 joe

投稿記事を読む - コメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です