日本が誇る西洋絵画がオンパレード。

2019年 09月7日 - 日常

先月の上京時に観たもうひとつの展覧会についてブログります。
神戸の川崎造船所(現・川崎重工業株式会社)を率いた松方幸次郎をご存知でしょうか。
いま、国立西洋美術館開館60周年を記念して『松方コレクション展』(~9/23)が開催されています。


松方は、第一次世界大戦による船舶需要を背景に事業を拡大しつつ、1916~1927年頃のロンドンやパリで大量の美術品を買い集めます。
当時の松方のコレクションは、モネやゴーガン、ゴッホからロダンの彫刻、近代イギリス絵画、中世の板絵、タペストリーまで多様な時代・地域・ジャンルからなり、日本のために買い戻した浮世絵約8000点も加えれば1万点に及ぶ規模でした。
しかし1927年、昭和金融恐慌のあおりで造船所は経営破綻に陥り、松方のコレクションは流転の運命をたどります。
日本に到着していた作品群は売り立てられ、ヨーロッパに残されていた作品も一部はロンドンの倉庫火災で焼失、さらに他の一部は第二次世界大戦末期のパリでフランス政府に接収されました。
その後ようやく、フランスから日本へ寄贈返還された375点とともに、1959年に国立西洋美術館が誕生したとき、松方コレクションは安住の地を見出したのです。
今回の展示では、オルセー美術館の至宝・ゴッホ《アルルの寝室》をはじめ、世界各地に散逸した松方旧蔵の名作が集結しています。
また2016年にパリ・ルーヴル美術館で発見され、国立西洋美術館に寄贈されたことで大きな話題となったモネ《睡蓮、柳の反映》が現存部分の修復を経て、初めて公開されています。
さらにはロンドン、パリでの松方の蒐集の足取りをたどりつつ、散逸・焼失・接収…と苦難の歴史を歩んだコレクションの数奇な運命を明らかにしています。

「ふだん常設展で見ている絵画たちも、展示の仕方で見方がずいぶん変わるんだな~」という発見も、同伴の友とともに共有することができました。

台風15号、あす列島に接近。  法華坊主 joe

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