父と娘、二人の天才絵師の競演。

2020年 01月22日 - 日常

太田記念美術館「肉筆浮世絵名品展―歌麿・北斎・応為」の続きです。

今回の企画展では、太田記念美術館の名品中の名品である、葛飾北斎「雨中の虎」、葛飾応為「吉原格子先之図」が揃って出品されていました。

葛飾北斎「雨中の虎」は北斎の没年にあたる嘉永2年(1849)に描かれた傑作。雨の中、上空を睨む虎の力強い生命力は、数え年90歳にして衰えを知らない北斎の絵師としての魂を象徴しているかのようです。2005年にフランスのギメ美術館に所蔵される「龍図」と対になることが発見されたことでも知られる名品です。
そして北斎の娘である絵師、葛飾応為。2年ぶりに公開される「吉原格子先之図」は、応為の希少な作品の中でも代表作の一つとして知られています。大胆な光と影の描写で江戸の遊郭、吉原の夜をドラマチックに描き出てしており、暗闇の中に人々の姿が浮かび上がる幻想的な作品です。北斎自身が美人画については応為に敵わないと語ったという逸話もある、その非凡な才能がよく表れています。ちなみに、花魁の供の男の提灯に「応」、格子の前の禿の提灯に「為」、そして格子の前で遊女と対面している男の提灯に「栄」の文字が入り「落款」になっているのも興味深いです。

この美術館には小上がりのように履き物を脱いで観るメインのコーナーがあり、ここに展示されている葛飾北斎「雨中の虎」、葛飾応為「吉原格子先之図」の名品を観るだけでも十分の価値があります。帰り際に、同伴の友と再観するぐらい、父・北斎と娘・応為、二人の天才絵師の競演は観応えがありました。2月9日(日)までですが、一度足を運んでみてはいかがでしょう。

 

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