けれど、そこには光がある。

2020年 04月20日 - 日常

新型コロナウイルス緊急事態宣言の全国拡大に伴い、福島市内の県立図書館・県立博物館も5月6日まで休館中です。
外出自粛が広がり、読書へのニーズが高まるのと裏腹に、各地で書店や図書館の休業・休館が相次いでいますが、人々の読書を支える仕事は果たして「不要不急」なのでしょうか。

今日は外出自粛を心がけ、冷たい雨でもありましたので、前に同好の友からいただいた、原田マハ著『いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画』(集英社新書)をあらためて開き直してみました。
アート小説の旗手として圧倒的人気を誇る原田マハさんが、自身の作家人生に強い影響を与えた絵画はもちろん、美術史のなかで大きな転換となった絵画や後世の芸術家に影響を与えた革新的な絵画などを厳選し、画家の思い・メッセージ・愛や苦悩を、作家ならではの視点で綴っています。
『楽園のカンヴァス』でモチーフとなったルソー、『ジヴェルニーの食卓』で描かれたモネ、『暗幕のゲルニカ』のピカソといった、原田作品ではおなじみの絵画はもちろん、古典・日本画・現代アートを含む全26点を掲載、新書版でありながら豪華カラー図版も収録しています。

私は美術館で絵画を鑑賞するのは好きですが、画家のバックグラウンドや美術史、技術的な絵画についてのバックグランドをなかなか心得られず、絵画について説かれた本は避けてきました。
しかし本書では、解説も交えながら原田さんの絵画と人間の部分のふれあいが素直に記されており、その感動をうらやましく思いました。
現在の自分の絵画との付き合い方が肯定されるとともに、バックグラウンドを知ればもっと絵画と親しくなれるのかと知識習得について前向きになることができる本でした。

本書のあとがきに
「そこに、いちまいの絵がある。
その絵には、さまざまの記憶が刻み込まれている。画家の思いが込められている。それらすべては、絵にパッケージされて、いまを生きる私たちにそっくりそのまま届けられる。
たったいちまいの絵。そう、それだけである。けれど、そこには光がある。私を、あなたを、私とあなたが生きる世界を変える力が、その絵には秘められている。」
と、原田さんは記しています。

 

福島県も明日から休業要請。  法華坊主 joe

投稿記事を読む - コメント

“けれど、そこには光がある。” への1件のコメント

  1. さとくん より:

    旅先で各地の「図書館」「市役所」等を訪れている私にとって、今回の「ほぼ全国の図書館が閉鎖」は痛いです・・・

    おそらく「コロナが出ないように、文句言われないように先に閉鎖してしまおう」という心理ですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です