大量生産された安価な庶民アート。

2020年 06月28日 - 日常

緊急事態宣言解除後に福島県立美術館でようやく開催された『もうひとつの江戸絵画 大津絵展』の最終日、三密を避け駆け足で観てきました。

江戸時代、東海道の旅人相手におみやげ品として売られた大津絵。
無名の絵師たちが宿場で即売し、仏画からはじまって、『藤娘』や『鬼ノ念仏』などの世俗画が人気を博し、明治以後は急速にすたれていきました。
ところが、チープで単純素朴な絵に心奪われた人々が、ひそかにコレクションをしはじめ、大津絵は美術品として注目されます。
おもなコレクターは、明治末の浅井忠、富岡鉄斎にはじまり、大正期の山内神斧、柳宗悦、そして戦後の小絲源太郎などです。
この展覧会は、大津絵に魅せられたコレクター群像をひもときながら、日本民藝館をはじめとする名品約140点を味わう、美術館初の試み。
ピカソも愛して秘蔵した、ユルくて愛らしい大津絵に、いま熱い視線が注がれています。
大津絵は、滋賀県大津市の大谷町(おおたにまち)や追分町あたりで、江戸初期から明治にかけて制作された絵画です。
作家が趣向を凝らして制作する一点物ではなく、いわば大量生産された安価な庶民アートですが、『藤娘』や『鬼ノ念仏』などお決まりのモチーフを名もなき画工が生活のためにせっせと描き続けました。
何やら文字が書かれているのは「道歌」で、仏教の教えや道徳など教訓です。
最初は信仰の対象となる仏を描いた画からはじまり、日常を描く風俗画やユーモアあふれる戯画などの要素を取り入れ、独自に発展していったとされています。
9月19日~11月8日は東京ステーションギャラリーで巡回予定です。

 

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